アメリカで仕事を探す

米国・カナダ合わせて進出日系企業の事業所は約8000と言われているが西海岸の中心カリフォルニア、またその周辺のワシントン、オレゴン、コロラド、アリゾナ各州には進出日系企業が2060社余りが点在している(USジャパンパブリケーション、NY社)、またこの他に当地で起業した企業がありその合計は優に3000を超えるのは間違いない。
このような状況下での就職活動は自身のおかれた現状によってやり方はずいぶんと違ってくるが、ここでは「新卒留学生」・「転職」の2つを中心に説明する。

「就職・転職活動の基本」― 求職活動の唯一最大の目的は「最適な仕事に就く」ことを忘れないこと。

日本では約400万社の企業がある、また雇用慣行として新卒採用がまだ主流となっているので近年の新卒者の就職は厳しいとはいうものの4年生大卒者の9割、短大卒の8割は卒業までに何らかの内定を取り付けているのが現状である。一方転職については経験・能力を重視した即戦力の採用も増えており、また労働省の規制緩和・撤廃等の政策により派遣から正社員登用への道も開け転職者の増大とともに企業も中途採用を増大している。

アメリカではどうか、この西海岸で日系企業が2000社余り、米系企業は無数にあるが、「ビザサポート」の必要な留学生については非常に狭き門である。米国系企業で日本語バイリンガルの人材採用についてビザサポートをする企業の業種は限られており、会計事務所・弁護士事務所・IT関連・技術者の一部である。一部というのはその企業が何らかの形で日本企業との取引をしており、社内に日本語バイリンガルの人材の必要がある企業、従い需要そのものの絶対数も少ない。
日系企業においては日本人駐在員を本社より出向させている企業も多く従業員も日本語バイリンガルを少なからず採用している。

またビザサポートも企業によっては年間を通じ行っている企業もあり自身の経験・能力・大学のメジャーによっては応募できる可能性はありうる。従い、留学生については基本的には日系企業を中心に求職活動をお勧めするが、絶対数が限られていること、業種・ポジション・仕事内容・就業地域・経験・能力・専攻・更にビザサポート等の要素を考えると該当する企業の数は極端に少くなることは理解頂けると思う。

結論としては下記のとおりである。

日本の5倍の求職活動をする。

企業の絶対数が限られている中での求職活動であるため可能性のある企業には積極的に応募する。

アンテナを最大限活用する。

5倍の求職活動をするためにはありとあらゆるソースを利用すべきである。先輩・友人・新聞・雑誌・人材紹介会社等お願い、利用できるものは全て活用する。理由は上に述べたとおり「企業の絶対数」と「求職活動の目的」である。

目的を忘れないこと

自身の希望職種・専攻の延長の仕事に就くことは賛成だが、米国に滞在することが優先してしまい希望や専攻とかけ離れた仕事に就くのはやめるべきである。

ジョブマーケット

米国の日系進出企業は2005年以降増大傾向に変わってきており、現在は当社でも常に300ほどのポジションがある。
この中でビザサポートの対象専攻となる主なものは「セールス・マーケティング」、「アカウンティング・ファイナンス」、「コンピューターサイエンス」、「コミュニケーション」、「HR」、「IT」等が多い。また職種としてはコンピューター関連、テレコミュニケーション、会計、旅行、運輸、メーカー、専門商社、出版等が挙げられる。

企業規模からみると大手の日系企業と言えども当地での従業員数はメーカーを除くと20-150名程の規模が大半である。

仕事の探し方

当社の過去の統計では日本語バイリンガルの方の西海岸での就業は97%が日系コミューニティの関連企業という結果である。これについては新卒留学生、転職者を問わず同様であるが、やはり一番大きな理由は言葉と就業許可であろうと思われる。

いってみればある意味での限られたマーケットでの仕事探しになるわけで、したがい幅広い求職活動は当然である。幸い、西海岸はテレビ、ラジオの日本語放送、新聞、無料情報誌、日系人材派遣・紹介会社、インターネット等を含め仕事を探すソースには事欠かない地域でもある、これらの情報と自分自身の情報を取り入れた求職活動を継続する必要がある。仕事に就ける確立は個人差があり、またタイミングもるが、特に新卒留学生の場合には2~6ヶ月は見ておくべきであろう。

給与

アメリカの給与は一般的には「職務給」と言われている、つまり仕事の価値を対価としての給与に置き換えたものである。
したがい勤続年数による毎年の昇給というよりは「経験・能力」が重視され給与が決まる仕組みである。日系企業においても例外ではなく、ポジション、仕事内容により給与、求める人材が決まってくる。

新卒留学生の場合の初任給はメジャーによって格差はあるが、当社の取り扱いでは年収3万ドル~4万ドルで推移しているのが現状である。

給与については言い尽くされているように「上を見ても下を見てもきりが無い」ものである、したがいある程度の柔軟な考え方をもって対処して欲しいものである。

ビザサポート

アメリカで仕事をする場合に当然であるがビザ(就業許可)、もしくは永住権(グリーンカード)の取得が必要であるが新卒留学生の場合はH1―Bビザが一般的である。このビザは採用企業が本人に代わって申請することになるため、留学生は、求人募集をしている企業で尚且つビザの申請をサポートしてくれる企業を探さなければならないというハンディを背負う。ビザ申請には申請書、本人のメジャーと仕事の内容、給与、採用企業がその人材を必要とする理由、推薦状等が必要となるが書類関係は弁護士が代行してくれる。

弁護士費用は2千5百ドル~3千5百ドル位であるがこれは100%本人が支払うケースが大半であるがまれに企業が負担してくれる場合もありうる。2000年の移民法改正で企業が負担する金額が別途設けられたため今までのようにビザの申請について企業がサポートを継続するかどうか不確定なところもあるが、幸い多くの留学卒業者が西海岸では働いているので仕事に就ける可能性は十分にあると言えるが何分限られたマーケット、希望職種、仕事内容、給与・福利厚生、ビザ申請費用等検討すべきことが多々あるのでくれぐれも十分考えながら行動すべきである。

転職へのアドバイス

就業ビザもしくは永住権取得者が転職をする際に気をつけるべき点がいくつかあるが大きく分けると下記の4つである。

転職理由を十分にレビューする

転職については、仕事内容・キャリア、給与・福利厚生、人間関係、職場環境、転居、結婚等色々な理由があると思うが安易な転職は成功しないことが多いのも現実である。新しい環境で、新しい人間関係で仕事をするという不確定要素が常についてまわるのは避けて通れず、新しい職場になじむには絶対的な時間が必要である。

したがい、転職についてはある程度の余裕を持ち、時間を使い、色々な機会を見ながら最終決断をする位の意識を持ちたいものである。

自分自身のスキルを常に向上させる

前述のように「職務給」である以上、専門性にたけた人材が重用されることになり、それが自身のセールスポイント、価値の向上につながり将来のキャリアパスとなる、それが結果として給与にも反映されることになる。したがい常に自身のキャリアには一貫性をもつことが望ましい。

自分自身を向上させる

仕事を継続して行く上で「人間」として必要な要素がいくつかある。一つ目は「自己コントロール」で、ストレス対処、気力充実、精神安定、動機付け、楽観性等、仕事を継続して行く上で自分の心理状態をつかめるようにする。二つ目は「対人関係」で、何処に行っても避けて通れないものである。自分の思っていることを相手に適切に効果的に伝えるのはなかなか難しいことである。言い方によって思わぬ誤解や拒絶を生むこともありうる。

どのような内容を、どのような順序で、どのような手段で伝えるかは一種のスキルであり、これがスムースに行けば対人関係は必ず良くなる。三つ目は「状況判断」で、相手を理解し、受け入れる客観的な判断力である。相手がどんな思いでいるのか、何をこちらに要求、希望しているのか適確に把握すべきである。この3つのを備えることにより、仕事上の問題解決能力は一段と向上する。

以上、簡単にアメリカ西海岸での就職・転職活動について何をすべきかを述べたが、限られたマーケットであることを前提に、留学生についてはビザサポートのハンディがあること、最適な仕事を最優先するべきでアメリカ滞在を優先させるべきではないこと、転職者については安易な転職は避けること、スキル向上に励むことが将来のキャリアパスにつながること、を理解頂ければ幸いに思います。